飲食店を開業する方の中には、テラス席を導入しようと検討している方もいるのではないでしょうか。テラス席を導入するためには、どのような許可が必要で、対策すべきことは一体どのようなものかご存知ですか。本記事では、テラス席を設置するために必要なポイントについて詳しく解説します。
1.テラス席を作るときに必要な許可とは
テラス席を設置する際には、自治体への届け出が必要です。どのような届け出が必要なのでしょうか。許可について紹介します。
1-1. 屋外客席設置届
テラス席を設置する際には、各自治体に「屋外客席設置届」が必要です。開業する前に届け出を提出していないと、違法営業になってしまうので注意が必要です。開業前に必ず提出をするように心がけましょう。
1-2. 公有地に出店したい場合
期間限定の特別イベントなどで、公園などの広場でお店を出店する際にも届け出が必要です。公園事務所によっては届け出以外に事前に提出するものが異なるため、事前に確認するようにしてください。
2.自治体の制度を確認
自治体によっては屋外客席設置届を提出するだけではなく、テラス席の細かな定義をしていることがあります。届出を提出していても、テラス席の規定に則した設計をしていないと違反になる可能性があります。必ず細かく確認をするようにしてください。ここからは東京都の事例をもとに細かく紹介しましょう。
2-1.設置場所
テラス席は屋内の客席と隣接していなければいけません。しかし、私有地であればテラス席を切り離した場所に設置することも可能です。しかし、状況によっては違法になる可能性があるので、あらかじめ図面を保健所に提出し、確認するようにしてください。
2-2.客席のキャパシティ
テラス席は客席のキャパシティを屋内よりも狭くしておく必要があります。狭くする必要は、天候の急激な悪化に対応をするためです。急な雨などが来た時にお客さんが屋内に避難できるよう、テラス席の設置数に注意をするように心がけましょう。
2-2.区画整理
テラス席であることをロープや観葉植物ではっきりと示す必要があります。しかし、お店のコンセプトによってはポールや観葉植物を設置すると、景観が台無しになってしまい雰囲気が崩れてしまうことがあります。区画整理をしたいのであれば、フロアをデッキにすることでエリアを明確にすることができます。お店の雰囲気に合わせて分かりやすくするように心がけましょう。
2-3.調理はできない
屋外スペースでは調理ができません。調理をするような営業を検討するのであれば、テラス席の必要な届け出だけでは難しいので気を付けるようにしてください。特にBBQなどができる席を検討しているのであれば、違法になる可能性があります。自治体に必要な申請書類を確認したうえでサービスを提供するようにしましょう。
3.テラス席のメリット
テラス席のメリットは一体どのようなものがあるのでしょうか。テラス席のメリットについて紹介していきましょう。
3-1.解放的
テラス席のメリットは、屋内の席に比べて解放的なスペースになります。景観の良いお店であれば、外を見渡しながら、楽しい時間を過ごすことが可能です。春、秋には多くのお客さんが訪れる可能性があるので集客アップにも効果が期待できます。
3-2.ペットと一緒に利用できる
テラス席を設置しているお店の多くは、ペットと一緒に食事を楽しめることを許可しているケースも多くあります。お客さんの中には、ペットと一緒に食事を楽しみたいという方もいます。
テラス席を設置すれば、このようなニッチな需要を満たすことも可能です。周辺エリアで動物を飼っている方が多く、テラス席を設置しているお店が少ないのであれば、テラス席を検討してみましょう。
3-3.季節感を味わえる
外で食事ができるので、店内で味わえない季節感を楽しむことが可能です。特に景観の良いお店であれば、春はお花見、秋は紅葉を見ながら楽しいお食事が可能です。さらにエリアによっては夏場には花火大会の鑑賞スポットとして解放することも可能です。季節感のあるイベントは何かを考えて、テラス席の導入を検討しましょう。
3-4.集客効果に期待
テラス席を設置することで、集客効果が期待できることもあります。外にお客さんが座っていることになるので、お店の存在を知らないお客さんでも「入ってみようかな」という気分になります。
さらに美味しい料理やコーヒーの香りでお客さんの来店を後押しすることにもなるため有効です。
4.テラス席の暑さ、寒さ、雨、虫、防音対策
一方でデメリットもあります。テラス席を設置する際は、デメリットをどのように対処すべきか考えるようにして下さい。ここからは、テラス席のデメリットへの対処方法について考えていきましょう。
4-1.暑さ対策
テラス席はどうしても夏場には温度が高くなり、お客さんも暑くて快適に過ごせないという問題があります。暑さ対策をする際には、ミストや扇風機を設置して体感温度を下げるようにしましょう。
日除けシェードがあると直射日光を遮ることができます。暑さ対策をおこなう際は、さまざまな対策を総合的におこない快適な環境を作りましょう。
4-2.寒さ対策
暑さ対策と同様、冬場の寒さ対策も重要です。冷気を遮るため透明なカーテンなどを設置するようにしましょう。さらに、IHストーブなどを設置してお客さんが快適に過ごせるような工夫を心がけてください。
4-3.雨対策
雨が降った時に対応をするためのシェードを設置するようにしましょう。シェードは折り畳みができる収納タイプのものを選択するようにしてください。
4-4.避難経路の確保
急な天候変化の際には、必ずどのようにお客さんを誘導するのかマニュアルを決めておくようにしましょう。特に注意しなければいけないことが、店内が満席で屋外のお客さんをどのように誘導するかです。
緊急時のマニュアルを必ず考え、テラス席のお客さんが困らないような工夫を心がけるようにしましょう。
4-5.解放時間を設定し騒音対策を心がける
住宅街に近接しているお店であれば、テラス席を使用する時間を限定することで騒音対策が可能になります。特に夜の時間帯にテラス席を解放していると、近隣住民から苦情が来る可能性があります。近隣の環境を考慮したうえで、騒音対策を心がけるようにしてください。
4-6.虫除けスプレーの貸し出し・害虫対策の徹底
テラス席は屋外なので、虫対策をおこなう必要があります。虫刺されなどが心配のお客さんのために、虫除けスプレーなどの貸し出しをおこないましょう。また虫が嫌がる音波を発信する装置の設置も効果があります。さまざまな対策をおこない、虫が来ない仕組みを考えるようにしましょう。
5.業者選びをどうするか
テラス席を設置する際、お店の外に新たにスペースを設置する必要があります。業者にテラス席設置を依頼する際、どのようなことに気を付けるべきか紹介しましょう。
5-1.施工事例の多い業者を選ぶ
テラス席を設置する際は、必ず施工事例が豊富な業者に依頼をするようにしてください。テラス席の施工を多く手掛けている業者であれば、どのようなポイントに注意をすべきかアドバイスをしてもらうことが可能です。
さらに、施工事例経験から経営者が考えている設計をより良いものへ提案してもらえる可能性があります。施工事例が多く自分がイメージしているテラス席を手掛けたことのある業者に依頼をするようにしてください。
5-2.相見積もりをする
良い業者を見つけても複数業者に予算を依頼するようにしてください。複数業者に依頼をすることで、適正な価格で工事を依頼することができます。複数の業者に依頼をして、適正価格で施工してもらうようにしましょう。
5-3.イメージを写真で伝える
施工前の打ち合わせで、テラス席の完成イメージを共有するようにしてください。イメージを共有しておくことで、コンセプトに沿ったテラス席の完成が可能になります。イメージを近づけるために、打ち合わせ段階では写真や実際の店舗例を見せて共有しましょう。
6.成功するために気を付けること
テラス席設置をするうえでは以下のポイントにも注意をするようにしてください。
6-1.開業前に周辺地域に挨拶状を作成する
挨拶状を作成し、近隣住人にテラス席ありの飲食店を開業したことをアピールしましょう。テラス席の防音対策を万全にしても、近隣住人に迷惑をかけてしまう可能性があります。事前に挨拶まわりを必ずおこなうようにしてください。
6-2.解放時期を設定する
テラス席として集客が厳しい夏、冬はあえて解放しないという選択肢も大切です。万全な体制でサービスが提供できる時期に限定をすることも大切です。対策でコストが高くなる可能性があれば、解放時期を細かく設定するようにしましょう。
6-3.違法営業をしない
必ず自治体から指定された方法で営業をするようにしましょう。違反状態で営業をしていることが判明すれば、営業停止に追い込まれ一定期間収入が無くなってしまうことも考えられます。必ず設置をする際は、このようなトラブルを回避するようにしてください。
6-4.宣伝をする
テラス席を利用したいというお客さんは、ペットを連れている。開放的な環境で食事をしたいといった他のお客さんにはない要望を持っていることが多くあります。
このようなお客さんの中にはテラス席で楽しめるお店を探していることもあります。アピールをするため、積極的にSNSで情報を発信し、テラス席を使えるお店であることをアピールするようにしましょう。
7.まとめ
テラス席を設置することで、飲食店にはさまざまなメリットがあります。これからテラス席を設置しようと検討している経営者の方は、今回紹介したポイントを整理して開業準備をおこなうようにしてください。
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