さまざまな飲食店の業態が登場する中で、アルコールを一切提供しない「ノンアルコールバー」をご存知でしょうか。本記事ではノンアルコールバーは一体どのようなお店か、開業のためにどのようなことが必要にかについて紹介します。
1.ノンアルコールバーとは?
そもそもノンアルコールバーとはどのようなお店なのでしょうか。ノンアルコールバーとは、お酒が飲めない人でも楽しめる新たな業態の飲食店です。
そもそも、なぜこのような業態のお店が登場したのでしょうか。健康面や疾患、または体質的な理由でお酒を飲めないという方がいます。このような方でも、お酒を飲んでいる気分を味わいたい、居酒屋やバーの雰囲気を味わいたいと思うこともあるでしょう。
このようなお客さんに向けてアルコールが入っていないカクテルやノンアルコールビールを提供することで、お酒が飲めない方でも居酒屋やバーのような場所で楽しい時間を過ごしてもらうことが可能になります。
2.ノンアルコールバー、海外では?
ノンアルコールバーは元々海外で誕生した飲食店の新しい業態です。
海外では日本以上にお酒への規制が厳しいと言われています。犯罪者を抑制するために、お酒の購入を制限している地域もあります。
また、海外ではお酒が飲める場所は、コミュニケーションをとることを目的とした社交場として活用されています。「お酒が飲めなくても社交場として活用したい」そんな方の需要からノンアルコールバーが誕生したという背景が海外にはあるようです。
海外では、ノンアルコールドリンクのことは“モクテル”と呼ばれています。偽の、まがいのという意味のmock(モック)とカクテルを組み合わせて作られた造語です。
現時点では、日本よりも海外の方がノンアルコールバーの店舗数が多いですが、今後日本にも系列のお店が出店する可能性があるでしょう。
3.普通の居酒屋と比べて、何が違う?
ノンアルコールバーがお酒を提供しない飲食店ということが分かりました。しかし、お酒を提供しないこと以外にも普通の居酒屋とは違うものが多くあります。通常の居酒屋とどのような点で違いがあるものか、詳しく紹介していきましょう。
3-1.コンセプト
ノンアルコールバーの多くには、コンセプトがあります。例えば「お酒が飲めない人が楽しく過ごせる社交場」と打ち出しているお店もあれば、「健康志向の高い人が訪れる社交場」といった、普通の居酒屋にはない明確なものばかりです。
ただ「お酒を提供しない」と主張しているだけでは、お客さんを掴むことができません。開業するのであれば、どのようなコンセプトのお店なのかしっかりと明示するように心がけましょう。
3-2.メニュー
ノンアルコールバーでは、ドリンク・フード両方に力を入れた方がいいでしょう。通常の居酒屋では飲めないようなノンアルコールカクテルのメニューを豊富に用意しておきましょう。
またコンセプトにあったフードメニューも準備しましょう。健康志向を重視するのであれば、体に良い有機野菜を中心にした食材でメニューを構築するなど工夫が必要です。コンセプトを明確に打ち出し、コンセプトとマッチしたメニューを検討するようにしてください。
3-3.客単価
居酒屋とノンアルコールバーの客単価はあまり差がありません。ノンアルコールバーでも、ドリンクメニューを高く設定することで、客単価を上げることが可能です。さらに料理メニューも有機野菜など原価を高いものを使用すれば、必然的に価格も高く設定することが可能になります。
一方で、単価を高くしすぎるとお客さんが利用しない可能性があるため、周辺の居酒屋と客単価があまり変わらないような工夫をしましょう。
3-4.宗教上お酒が飲めない人が訪れる場所に
ノンアルコールバーであれば、宗教上お酒を飲めないという方が多く訪れる可能性があります。宗教によっては食べてはいけないものがあるので、宗教上お酒が飲めない方を想定したメニュー作りも集客に効果があると言えるでしょう。特に食事制限のあるイスラム教徒向けのハラルフードを検討しておきましょう。
このようなメニューを用意しておくことで、日本人以外の客層を掴むことも可能です。ただお酒を提供しないだけでなく、お酒が飲めない人がどのような食事やドリンクメニューを求めているのかを考えながら準備するようにしてください。
4.カフェと比べてノンアルコールバーは何が違うのか?
カフェとノンアルコールバーではどのようなところが違うのでしょうか。ノンアルコールバーにすることで、カフェでは獲得できないお客さんを取り込むことが可能になります。
4-1.客層
カフェといえば、女性客やビジネスマンが多く、どちらかというとランチタイムやカフェタイムに多くのお客さんが訪れ、ディナータイムはお客さんが全く入らない。夜にオープンしていてもお客さんが訪れないというデメリットがあります。
しかし、バーにすることでお客さんを多く取り込むことが可能です。例えばお酒が飲めない方でもバーのような社交場を求めている方がいます。このような方に向けたノンアルコールバーがあればお店に訪れるでしょう。
ノンアルコールバーで想定されるお客さんは、お酒が飲めない人やお酒を飲んだ気分を味わいたい人なので、居酒屋が多いエリアに出店すれば、普段居酒屋には行かない(行けない)方達の希望を満たすことができます。そのため、カフェと差別化を図ることも可能です。
4-2.客単価
カフェと同程度の単価に設定することが可能です。最近のカフェでは1杯のドリンクで1,000円程度かかるお店もあります。ノンアルコールバーの1杯でも同様な値段を設定できるため、カフェと同じ単価に設定しても営業が可能です。
4-3.メニュー内容
カフェであれば、ドリンクメニュー以外にもフードメニューを充実させる必要があります。スイーツやランチ用に最適なパスタやピザなどはカフェのフードメニューでは欠かせません。
しかし、ノンアルコールバーにすれば、フードを充実させなくてもお店を開業することが可能です。例えば、豊富な種類のノンアルコールドリンクをメインにして、フードは限定的なメニューでも、十分に集客が可能でしょう。
もちろん、居酒屋のようなお店を想定しているのであれば、フードメニューを充実させることもできます。
4-4.コミュニケーションの場所として活用
カフェをコミュニケーションの場として活用しているお客さんもいらっしゃいます。もちろん、ノンアルコールバーでも同じように社交場として活用することも可能です。また、ノンアルコールバーの場合、居酒屋の二次会として活用してもらうことも可能なため、夜遅くまで営業することもできるでしょう。
4-5.優れている点は
カフェの場合、主婦やビジネスマンとその地域に特化したユーザーしか訪れない可能性がありますが、ノンアルコールバーは主婦や女性客だけでなく、健康上や体質的な問題でお酒が飲めない方や宗教上お酒を飲めない方でも気軽に訪れる場所として提供することが可能です。
結果としてニッチな層のお客さんが集まれる場所として、カフェのように一見客ではなく、常連客になる可能性があります。
5.お店を立ち上げるために必要なこと
ノンアルコールバーを立ち上げるために、どのようなことが必要なのでしょうか。立ち上げる際に気をつけなければならないことについて、ポイントを紹介します。
5-1.コンセプトを明確にする
ノンアルコールバーは日本ではまだ普及していない業態のお店です。そのため、どのようなお店なのか、コンセプトを明確に設定するようにしてください。
コンセプトが明確にしておけば、ドリンクに力を入れるべきか、メニューも充実させるべきなのか、お店にとって重要な要素とは何かを考えることができます。コンセプトが明確になっていない状態でお店を経営すると、単にお酒を提供しないお店としか認識されない可能性があるため、お店としてのコンセプトを明確にするようにしましょう。
5-2.価格設定
お店としてどの程度の客単価を想定しているのか、あらかじめ設定するようにしましょう。客単価が分からないのであれば、事前に周辺地域のお店を調査して、料金を設定するようにしましょう。
料金を居酒屋で提供するドリンクと同程度のものにするのであれば、差別化が必要です。内装にこだわったり、ソファを高級家具にしたり、長時間快適に過ごせるように居酒屋やカフェにはないコンセプトを武器に集客をおこなうようにしましょう。
5-3.内装費
内装にはこだわり、お金をしっかりかけるようにしましょう。しかし、内装費にお金をかけるといっても、上限設定が必要です。必要最低限の内装ではなく、コンセプトとマッチした内装にするためには、どのようなことが必要なのかをイメージして内装費を設定しましょう。
業者に依頼をする際には、おしゃれな内装を得意としている業者に内装を依頼するよう心がけてください。
5-4.宣伝方法
宣伝をする際には、SNSが効果的です。可能であればどのような商品を提供するのか、SNSを通して発信をするようにしましょう。
周辺地域に宣伝する方法も効果がありますが、周辺地域のみに限定をすると、ニッチなユーザーに情報が届かない可能性があります。SNSを効果的に活用し、多くのユーザーに情報を届けるように心がけましょう。
6.まとめ
ノンアルコールバーは日本ではまだ業態としては少なく、今後出店するお店が多くなる可能性がある新しい業態の飲食店です。普通の飲食店を開業したくないという方は、思い切ってノンアルコールバーを検討してみましょう。
「飲食店のツナグ」では、開業予定の方に有益な情報を多数発信しています。これから飲食店開業予定の方は、ぜひ参考にしてください。