飲食店の家賃問題!相場、減額交渉、滞納について

Rent restaurant

飲食店を経営するうえで検討しなければいけないものが、「家賃」です。家賃価格をどの程度に設定をするかもちろんのこと、万が一家賃が支払えなくなった時にどのような対処方法をすべきかを考慮しておく必要があります。本記事では、飲食店の家賃について紹介します。

1.飲食店の家賃の相場はどれくらい?

そもそも飲食店の家賃相場はどの程度なのでしょうか。家賃相場について考えていきましょう。

1-1.家賃相場は地域や業種によって異なる

そもそも家賃相場は、地域や業種によって異なります。蕎麦屋を経営しようと検討している方でも、都心部と郊外では家賃の金額に差が生じます。さらに、店舗の広さによって家賃も大きく異なるため、同じ広さの条件で調べる必要があります。

出店をする際に、家賃相場を調べる際は、出店しようとしているエリアと店舗の広さを視野に入れて家賃相場を調べると良いでしょう。

1-2.坪単価で平均を調べる

エリアごとの家賃相場を調べるための調査方法は、坪単価で家賃を調べる方法です。ご自分が出店しようと検討しているお店が、近隣エリアに存在していないことも考えられます。この地域で仮に出店をすると、どの程度必要なのかを調べるために、坪単価を割り出しておくと、どのような広さのお店でも相場よりも高いのか安いのかが分かります。

一方で、坪単価の平均を知らない状態で店舗を借りると、相場よりも高い物件を契約してしまう恐れがあるため注意が必要です。契約をする際は、坪単価の調査をしてから契約を結ぶようにしましょう。

1-3.同業種の調査をしておくと良い

出店するエリアの家賃相場を把握したところで、同じエリアで出店しているお店の調査をするようにしましょう。調査を実施する際は、店舗の広さだけでなく商品の価格設定をどの程度に設定しているのか確認をするようにしてください。

家賃の高いエリアに出店しているお店では、高い家賃を補うために商品価格を高く設定していることもあります。開業時の値段設定の際に役立つため、必ず同業種の調査をおこなうように心がけましょう。

2.家賃の減額交渉の仕方

飲食店を開業後、経営が不安定になってしまい、一時的に家賃が支払うことが難しいケースがあります。経営が健全なお店でも、突然家賃が支払えなくなる可能性があるため、注意が必要です。特に、大災害やコロナ禍といった飲食店の経営努力では解決できないような問題が発生した際に、家賃が支払えないことが考えられます。家賃が支払えない場合はどのような対処をすれば良いのでしょうか。

2-1.契約内容を確認する

減額交渉をおこなう前に、契約内容を確認しましょう。契約内容に「家賃の減額交渉を一切受け付けない」という文言があれば、どのような交渉をしても家賃を下げることが難しい可能性があります。一方で、減額交渉に関する文言が無ければ、交渉次第で家賃の減額交渉が可能になる可能性があります。

万が一減額交渉を受け付けないという文言があれば、一度大家さんに事情を説明し、近い将来家賃が支払えなくなる可能性があることを正直に伝えるようにしましょう。

2-2.大家さんに直接会って説明をする

大家さんに直接会って、減額できないか交渉をするようにしましょう。交渉をする際は、必ず電話ではなく、会って直接交渉するようにしてください。

電話では、直接交渉ができる日程と簡単な内容を説明して、会った際に家賃に関する内容を説明するようにしましょう。大家さんには、減額交渉に必ず応じなければならないという義務がないため、要求を拒否される可能性があります。

しかし、契約を何年もしている物件であれば、実績があるため一時的な減額交渉に応じてもらえることもあります。

大家さんにとっても、空き店舗になり家賃収入が発生しないことだけは避けたいことなので、慎重に交渉するようにしましょう。

3.家賃を滞納したら、どうなる?

減額交渉に応じてもらえず、家賃が支払えなくなってしまったら、どのようなトラブルが想定されるのでしょうか。家賃滞納をすると、以下のようなトラブルが考えられます。

3-1.遅延損害金の発生

家賃の支払いが遅れると、年利5%から14.6%で遅延損害金が発生します。家賃支払いが1日でも遅くなれば、遅延損害金が発生し、支払う金額が多くなります。1日でも早く支払うようにしましょう。遅延損害金は、大家さんと交わした契約によって異なります。遅延損害金がどの程度発生するのかを検討したうえで、請求をおこなうようにしましょう。

3-2.契約の解除

家賃滞納が2ヶ月以上続いてしまった場合、大家さんから一方的に契約を解除される可能性があります。仮に2ヶ月後に家賃を問題なく支払うことができても、大家さんの意向によっては継続契約が難しいと言われる可能性も考えられます。一方的な契約解除にならないためにも、2ヶ月以上の滞納が無いよう必ず家賃を支払うようにしてください。

4.家賃滞納を回避する方法

家賃滞納をしないために、経営者はどのようなことができるのでしょうか。家賃滞納をする可能性がある場合は、次のような方法でトラブルを回避するようにしましょう。

4-1.大家さんに連絡をする

家賃の支払いが遅れる可能性がある場合は、すぐに大家さんに事情を説明しましょう。大家さんの印象を良くしておくことで、万が一2ヶ月以上滞納する状況になっても強制退去を回避することができる可能性があります。

大切なことは、家賃を滞納する意思があるのではなく、1日でも早く家賃を支払おうとする姿勢があることを示すことです。連絡をした際は、支払えそうな日程を説明するように心がけましょう。

4-2.事業継続の意思を伝える

滞納は一時的なもので、経営が傾いていないことをアピールすることも大切です。長期間にわたり事業を継続していく旨があることもアピールしておきましょう。

4-3.助成金の申請を検討

経営努力で家賃が支払えない問題や、滞納してしまう恐れがある場合は助成金の利用を検討しましょう。助成金を利用することで、一時的に支払いが困難になってしまった状況を対処できる可能性があります。

特に、大災害が発生した際は、一時的に家賃を支払えなくなることが考えられます。国や地方自治体の制度を活用すれば、助成金が利用できる可能性があるため、支払えないと嘆くのではなく調査をするように心がけましょう。

4-4.遅れた期間は少しずつでも支払う

家賃滞納をした際は、家賃をまとまって支払うのではなく、少額でも返済する努力をするようにしましょう。2ヶ月分の家賃を一度に支払うと、その後赤字状態でお店の運営をしなくてはいけない可能性も考えられます。

まとまったお金の支払いが難しいのであれば、滞納してしまった金額を少しずつ支払いながら、大家さんを安心させるように心がけましょう。

4-5.家賃が高いエリアに出店をしない

無理をして家賃が高いエリアに出店をすると、家賃滞納せざるを得なくなる可能性が高くなります。出店する際は、赤字経営になっても最低限家賃を3ヶ月以上支払えるといった条件を設定したうえで出店場所を検討しましょう。売り上げが良ければ何とかなるという考えでは、家賃滞納をしてしまう恐れがあると認識してください。

5.絶対にやってはいけないこと

一方で、家賃支払いに関して絶対にやってはいけないことがいくつかあります。トラブルを回避するために、以下のことは避けるようにしましょう。

5-1.家賃滞納を繰り返さない

「2ヶ月以上滞納しなければ強制退去されない」という考えから、1ヶ月程度の家賃滞納を平気で繰り返してしまうケースがあります。

家賃滞納を繰り返しおこなってしまうと、大家さんの印象も決して良いものではありません。また家賃滞納をおこなう実績が1回でもあると、大家さんから立ち退きを命じられる可能性もあります。

家賃滞納を頻繁にしながらお店を経営すると、大家さんからいつ契約を打ち切られてもおかしくない状態なので、滞納をしないように、また大家さんとの関係は良好に保つようにしまししょう。

5-2.家賃が支払えなくなるまで営業をしない

大前提として、家賃が支払えなくなるまで営業をしないようにしましょう。災害や病気などでお店の経営が難しく、家賃が突然支払えなくなる場合は、不測の事態のため、やむを得ないかもしれませんが、家賃が支払えなくなってしまうような飲食店経営は絶対におすすめできません。
赤字でも家賃が支払えるように、開業時に最低限の収支ラインを設定し、家賃が支払えなくなる可能性が生じた際はあきらめて閉店を検討するようにしましょう。

5-3.消費者金融等で家賃の借金をすることを避ける

家賃を支払うために、金融機関に資金を援助してもらうケースもあります。金融機関の中でも絶対に借りてはいけないものが、消費者金融です。すぐに返済できるのであれば、一時的な策としてアリかもしれません。

しかし、一時的に問題を解決できても、その後経営状態が改善できなければ飲食店の閉店後に借金だけが残り、経営者が負担をしなくてはいけない可能性があります。その場しのぎの経営を実現するために、消費者金融から一時的に家賃を融資してもらうことは絶対にやめるようにしましょう。

支援を受けるのであれば、自治体や政府が推奨している制度を活用することです。申請をしても、対応してもらえるまでの期間が遅いというデメリットもありますが、長期的な視野で検討をすると、ダメージを最小限に抑えることができるため、金策を検討する際は慎重に検討するように心がけましょう。

6.まとめ

飲食店を開業する際には、家賃がどの程度必要なのか調べ、万が一の時には経営者としてどのような対処をすべきか、本記事で紹介した項目を最低限知っておくと役立つでしょう。

「飲食店のツナグ」では、開業予定の方に有利な情報を多数紹介しています。これから飲食店を開業予定の方は、ぜひ参考にしてはいかがでしょうか。