飲食店の経営が軌道に乗って長年経営していても、体力の衰えとともにお店をどのようにして残すか悩んでいる経営者の方もいるのではないでしょうか。跡継ぎが不在の飲食店でも生き残る方法はあります。
1.人気飲食店が閉店する理由
なぜ人気飲食店が閉店せざるをえなくなるのでしょうか。人気飲食店が閉店する理由として様々な理由が考えられます。閉店する理由は大きく分けて3つあります。
・経営状態が不安定になり閉店せざるを得なくなった
・土地開発で移転する必要があり閉店を決める
・高齢のためにお店の経営が難しくなった
様々な理由の中で、高齢になってお店の経営が難しくなったという問題は、多くの飲食店が抱える問題です。最近では、経営を頑張っていた高齢の店主でもお店の経営状態が赤字に転じてしまったタイミングでお店を閉店してしまうケースも珍しくありません。
人気店の場合、経営状態や移転問題では閉店する可能性は低い一方で、高齢化によって閉店をしてしまうケースが多く、ファンが多い飲食店になると、辞めたいのに辞められないという状況が続きます。
2.飲食店を残す3つの方法のメリット・デメリットとは
飲食店を残す方法として大きく分けて3つの方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため特徴を紹介していきましょう。
2-1.親族に継承する方法
自分が高齢化になった時に事業を親族に継承する方法があります。従業員として親族が働いているケースであれば、従業員からの反発を受けることなくスムーズにお店の跡継ぎとして選定することが可能です。
さらに後継者は親族のため、柔軟に事業継承の時期を変更することが可能になります。親族に跡継ぎを選定する良いところは、後継者が経営不振になった後でも、アドバイスすることが可能なため柔軟な引き継ぎが可能になります。
一方で、跡継ぎ候補が複数名いる場合、どの親族を跡継ぎ候補として選ぶのかを慎重に検討する必要があります。選び方を間違えてしまうと親族同士でトラブルになってしまうことがあるので注意が必要です。
さらに跡継ぎがいても、本人が事業を引き継ぎたくないと拒否する可能性もあります。親族同士で後継者を選定する際は、跡継ぎ候補に引き継ぐ意思があるかどうかを確認した上で事業を引き渡すようにしましょう。
2-2.親族以外の従業員に引き継ぐ方法
親族以外で跡継ぎを検討する場合、従業員に事業を引き継ぐ方法があります。特に長い間勤務している従業員を選定すれば、店主の思いを反映しながらお店の引き継ぎが可能です。他の従業員からも反発を受けない可能性が高いので、親族のようにスムーズな引き継ぎが可能になります。
一方で、従業員に引き継ぐ際に跡継ぎ選びで間違った人選をしてしまうと、親族に引き継ぐ方法と同様に強い反発を受ける可能性があります。親族以外の従業員に引き継ぐ際は、人選を慎重に選ぶようにしましょう。
店主が良い人選だと感じても、従業員が同じ意見と思わない可能性があります。人選をする際は、店主だけの意見ではなく、従業員全員の意見を聞きながら反映させるようにしましょう。
2-3.M&Aによる引き継ぎ
お店を第三者に売却する方法があります。跡継ぎに適任者がいなければ、第三者を見つけることでお店を続けることが可能になります。お店を魅力的に感じている企業等に売却すれば、売却代金を受け取ることができ、安定したリタイアが可能です。さらにM &Aの場合は買収した企業が後継者の教育をおこなうため後継者が育つまで働く必要はありません。
一方で、働いている従業員が不信感を抱くこともあります。第三者に経営が移行することでお店がこれまでに積み上げてきた決まりやルールを大きく変更されてしまう可能性があるからです。
お店の営業方法を大きく変更したことで、お客さんや従業員が離れ最悪の場合すぐに閉店しなければならない可能性があることを認識しておきましょう。
さらに、デメリットとして買収先企業の都合によって突然買収計画が無くなってしまうこともあります。買収先を見つける時は、信頼できる企業を探し交渉をするようにしましょう。
3.最適な方法のメリット
跡継ぎを見つける際で、最適な方法はどの方法でしょうか。様々な選択肢のある中ですべてメリットばかりの選択肢はありません。しかし、最も柔軟に対処できる方法として、後継者を募集する方法があります。
従業員でもない第三者の跡継ぎで、飲食店を将来的に引き継ぎたいと思っている個人です。後継者に譲渡することで次のようなメリットがあります。
3-1.メリット1 従業員に比べて熱意がある
従業員の中には、店主として働くのではなく今の立場で働きたいと考えているケースもあります。従業員を無理に跡継ぎとして選定をすると失敗してしまう恐れがあります。一方で、後継者希望者は元々熱意があるため、創業者の思いを伝えながら仕事を教えることが可能です。
3-2.メリット2 お店の経営方針を引き継ぐことが可能
企業に比べて後継者を希望する者であれば、思いを伝えながら事業を引き継いでもらうことが可能です。企業によっては思いを反映してもらえず、お店を渡した後にお店の経営方針が変わってしまう可能性があります。
しかし、後継者であれば引き継ぎをする際に、お店の思いをしっかり伝えていけば経営方針をそのまま反映することが可能です。
3-3.メリット3 後継者の顔がわかる
企業に譲渡すると、跡継ぎがどのような人物なのかわからないまま譲渡しなければならないこともあります。
後継者であれば、跡継ぎ候補の顔がはっきりわかるので、お店を引き渡しても本当に問題ないかどうかを精査することが可能です。
4.飲食店を譲渡するときに気をつけたいポイント
飲食店を後継者や企業に譲渡する際には以下のポイントに気をつける必要があります。後継者候補に譲る際にも役に立つことなので、今後取引をおこなう予定の方は、次の内容に注意をしてください。
4-1.従業員には確定まで内密にする
譲渡することを決めたとしても、従業員に事前に伝えるのは控えるようにしましょう。伝えるタイミングは譲渡日が確定した段階です。従業員の中には、譲渡されると聞いて、辞めてしまう恐れがあります。譲渡前に社員が多く退職してしまうと、最悪の場合譲渡の話が無しになってしまう可能性があります。
もちろん、従業員にきとんと伝えることは大切です。しかし誤ったタイミングで伝えるとトラブルに発展してしまう恐れがあるため注意をするようにしましょう。
4-2.従業員が不利にならないような進め方を提案する
後継者にお店を引き渡す際には、従業員が新しい後継者に対して反対を示すこともあります。M&Aのような企業同士の譲渡でなく、1人の後継者に事業を継承する方法であれば、まずは従業員に後継者を認めさせた上で引き継ぎをするようにしましょう。
後継者と一緒に働く従業員の気持ちを配慮しない状態で事業継承をすると、いくら優秀な従業員でも仕事を辞めてしまう可能性があります。従業員とトラブルにならないよう、ヒアリングをしながら進めるようにしましょう。
4-3.後継者に提供する情報は明確に
譲渡をする際には、後継者への情報提供は明確に行いましょう。明確にすべき条件は以下の通りです。
・譲渡のタイミング
・お店の状況
・譲渡する際の条件の確認
後継者にお店を完全に引き渡してしまうと、権利が後継者に移行してしまい、意見を言うことが難しくなる可能性があります。後継者に引き渡しても、従業員とトラブルに発展し最悪の場合は譲渡が失敗してしまう恐れがあります。
譲渡する側と後継者がwin-winの関係になるよう、情報をしっかり共有するように心がけてください。
4-4.お店の経営状態も把握しておく
お店を譲渡する際、第三者や後継者は本当に事業を引き継いで問題ないかを調査します。問題点があると、場合によっては人気店でも買収を中止したいと申し出てしまうことがあります。
第三者にお店を引き渡そうと検討しているのであれば、お店が健全であることをアピールしておく必要があります。経営状態だけでなく。調理設備などのメンテナンスをしっかりしておくようにしましょう。
お店で負債を抱えているのであれば、返済状況を説明することはもちろんのこと、負債額などもしっかりと伝えるようにしてください。
第三者にお店を譲渡する際は、ネガティブな要素があると後継者が現れないのではないかと心配になる気持ちは分かりますが、ネガティブな情報を後から伝えるのは都合が悪いことを隠していたのではないかと信頼関係を損ねる可能性もあります。ネガティブな情報でもきちんと前もって伝え、心象を悪くしないように心がけてください。
4-5.交渉はプロに任せる
飲食店を企業に譲ろうと検討している場合は、企業と交渉をする代理人を立てるようにしましょう。企業の中にはM &Aに慣れている企業もあり、企業にとって有利な条件を一方的に提示して交渉を進めてしまう恐れがあります。
飲食店を良い条件で譲渡するためには、対等な立場で交渉できるプロに依頼をして交渉してもらうようにしましょう。
4-6.跡継ぎ候補の情報を調査しておく
飲食店を良い状態で引き渡す際に、跡継ぎ候補の情報をしっかり調査した上で引き継ぎをするようにしましょう。
例えば、企業に飲食店を譲渡する場合、企業の経営方針によっては買い取ったお店をすぐに閉店させ別事業に転換してしまう恐れもあります。後継者希望の跡継ぎに引き渡す場合でも、跡継ぎのスキルが足りない可能性も考えられます。
事業を引き継ぐ際は、跡継ぎとして本当に問題ないのかを調査して、納得のいく第三者へ譲るようにしてください。
5.まとめ
飲食店の後継者がいない場合は、閉店をするか第三者に譲るか決断をしなければなりません。決断を誤るとトラブルになってしまう可能性が考えられるため、継承する際は慎重に検討するようにしましょう。
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