飲食店を営業するために欠かすことができないスキルが接客です。接客が悪くても人が集まるお店はごく稀で、味で勝負するといっても、接客がイマイチであれば、来店チャンスを失ってしまう可能性があります。
本記事では飲食店で必要な接客スキルとはどのようなものが求められるのかを紹介します。
1.接客の基本を学ぶ
接客をするうえでの基本的な接客方法を学ぶようにしましょう。
1-1.接客用語
接客用語は接客をするためには欠かすことができません。接客をするためによく使われる「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」「お待たせしました」「大変申し訳ございません」は接客の中でも必ず使う可能性の高い用語です。
このような用語はしっかりと言えるように身につけるようにしましょう。もちろん、お店によっては崩した言い方に変える場合もあります。大切なことは、お客さんに不快感を与えないようにすることです。接客では相手に不快感を与えないような接客をすることを心がけて身につけるようにしましょう。
1-2.細かい言葉遣いに配慮する
接客用語は特に身についてしまうと、なかなか修正が難しいため、開業前から接客用語の使い方に注意をしましょう。
特に飲食店で基本的な用語として使われるものが、「こちらが○○(料理)になります」という言い方です。料理を提供する際にはつい使いがちの言い方ですが、この用語は間違っています。食べ物は、既に存在しているもので、なることができない存在です。
しかし、このような場合でもつい「○○になります」と使ってしまうことが多くあります。このような言い方をするのではなく、「○○でございます」と使うように気をつけましょう。
このように、細かい言葉の使い方に気をつけて、正しい用語を使うように心がけましょう。特に、高級レストランのような上質なサービスを提供しようとしている飲食店を開業予定であれば、接客スキルだけでお店の価値を判断されてしまうことがあります。
言葉遣いがしっかりできていないと、お店に足を運んでもらえないことも考えられるため、正しい日本語で接客をおこなうように心がけてください。
1-3.接客態度
正しい日本語で接客することも大切ですが、それ以上に接客をするために大切なことは、接客態度です。いくら正しい日本語で接していても、態度が高圧的である、お客さんにとって不快に感じるような接客をしては意味がありません。
このような状況を回避するために大切なことは、正しい感情を持って接客をすることが大切です。特にお客さんと接する機会が多い人は、明るく、前向きな態度で接することが大切です。
もちろん、クレームや不快なことをして怒りを覚えてしまうこともあるでしょう。しかし、このような状況でも態度を感情に表さず、スマートに接客をすることも大切です。
さらに言葉遣いができていなくても、接客態度がよければ良い接客を受けたという印象を持つ方もいます。接客態度は飲食店にとってお客さんの心を掴むチャンスになる可能性があるため、スタッフは接客態度に気をつけるようにしてください。
2.接客トーク具体例
接客時で最も気をつける必要があるものが、接客トークです。先ほど紹介した言葉遣いも大切ですが、シチュエーションごとの話の仕方も大切です。ここからは状況に応じたトーク例を紹介していきましょう。
2-1.入店時に気をつけること
入店はお店の印象を決める大切な瞬間です。0.1秒でそのお店の好感度が決まってしまうと言われているほど、入店時の挨拶は重要です。
入店した直後は、元気よく挨拶をするようにしましょう。この時、状況に合わせた声かけが大切です。例えば、晴れの日と雨が降っている日では接客が異なります。
雨の場合は、傘を持ってお店に入ってくるお客さんが多くいます。このようなお客さんに、傘を預かるのか、傘立てを利用してもらうのか、お店にとってやってもらいたいことを伝えるようにしましょう。
また、お子さん連れのお客さんの場合は、補助椅子など必要なものが無いか確認してから席に案内するとスムーズな接客が可能になります。
状況によっては満席でお客さんを待たせてしまうということが考えられます。このような場合、店内で待ってもらう場合は、その旨を伝えるようにしましょう。この時「こちらでお待ちください」と声をかけるケースもあるでしょう。
間違った言葉遣いではありませんが、「こちらでお待ちいただけますか」と声をかけるとよりかしこまって相手に話かけている印象を与えることが可能です。
入店時の対応で、良い接客をするかどうかが判断されることが多くあるので、担当するスタッフは正しい接客方法で接するように心がけましょう。
2-2.注文の仕方
注文をする際は、相手を注意深く観察しながら注文をするようにしてください。この時よくやってしまいがちな言葉遣いが「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」という表現です。
言葉遣いとしておかしいので、「ご注文は以上でよろしいでしょうか」という言い方に切り替えるようにしましょう。また、料理を提供した際、「ご注文の品はお揃いでしょうか」と尋ねることがあります。お揃いを使う場面は、人数に対して使う言葉なので、注文した商品が揃っているかどうかを確認する場合は、「ご注文は以上でよろしいでしょうか」と声をかけるように心がけましょう。
2-3.謝罪の仕方
接客中に、注文が遅い、料理に異物が混入していた、会計が間違っているなどのトラブルが発生した場合は謝罪をしなければならないということも考えられます。
このような場合は、謝罪の仕方にも気をつけるようにしましょう。「申し訳ございません」と謝ることも大切ですが、それ以上に大切なことは、どのような対応をするのかお客さんにはっきりと伝えることです。
その際、お店に非があることを認め、誠心誠意を込めて謝罪をするように心がけましょう。
2-4.ハキハキと話すことが大切
いくら丁寧な言葉を使っても、相手に聞き取ってもらえなければ良い接客をしているということではありません。接客をする際はハキハキと話すようにしましょう。
この時、声を大きく出すということではなく、相手に聞き取れるような大きさでしっかりと話してあげるようにしてください。
3.ワンランク上の接客をするために必要なこと
良い接客を実現させたいと検討しているお店の中には、他の飲食店以上に良い接客を目指す「ワンランク上の接客」を実現したいと考えている方も珍しいことではありません。ワンランク上の接客をするために大切なことは一体どのようなことが必要なのでしょうか。ワンランク上の接客術について考えていきましょう。
3-1.接客と接遇の違いを理解する
ワンランク上の接客をするためには、接客と接遇の違いを理解することが大切です。接客ではなく、接遇ができていれば、ワンランク上の接客が実現していると言っても良いでしょう。この接遇とは一体どのようなものなのでしょうか。
接遇とは、おもてなしの心を持って相手に接することを意味します。これは、日本人の得意な「おもてなし」を発揮することが大切です。
ワンランク上の接客を目指したいのであれば、相手をおもてなしする気持ちがあるのかどうかを確かめながら接客をおこなうように心がけましょう。
3-2.相手との距離感を保つ
相手との距離感をしっかりと保ちながら接客をおこなうことも大切です。初めて会う人と何度も会っている人では距離感も違うので、距離感の近い接客を心がけましょう。
ただし、人によっては距離感を縮めてくることを嫌う人がいます。パーソナルスペースを適切な距離に保ちながら相手との距離感を間違えないように接客するように心がけてください。
3-3.相手の情報を覚える
相手のことを覚えておくことも、お客さんによっては喜ばれる可能性があります。お客さんとっては自分のことを覚えてもらっていると嬉しいものです。
来店したお客さんの好みがどのようなものかを把握しながら料理を提供すれば、より好感を持たれる可能性があります。
特に、覚えておくべき情報は、注文した料理と来店時どのような様子でお店に来たかということです。メニューを覚えておくと、その人の嗜好がどのようなものか見えてくることが多く、メニューの提案もし安くなるというメリットがあります。
ただしやってはいけないことが、プライベートの内容まで記憶してしまうことです。あくまでお店としての情報に留めておくように心がけてください。
3-4.相手がこうしてほしいだろうと思うことをする
ワンランク上の接客を目指すのであれば、相手の立場にたって物事を考えましょう。例えば、接待でお店にやってきたビジネスマンであれば、ビジネストークが盛り上がっている時に料理を提供すると、会話に水を差してしまう恐れがあります。
お客さんがどのようなことを望んでいるのかを想像しながら接客をするように心がけましょう。相手の立場に立った接客ができるようになれば、良い接客をされたという印象を与えることが大切です。余裕があれば、相手の立場に立った対応を検討しましょう。
3-5.神対応の基準
接客で神対応をしたかどうかを決めるのはお客さんです。絶対にやってはいけないことが「神対応になぜ気づかないのか」と思ってしまうことです。
一方的な接客は決して良い接客とは言えません。大切なことは、「お客さんが楽しい時間を過ごせたかどうか」です。良い接客をしていても、楽しい時間を過ごすことができないのであれば、神対応の接客をしたとは言えません。
ワンランク上の接客を実現しようと検討しているのであれば、特に「お客さんの満足度」に注目をしながら接客するように心がけてください。
4.まとめ
飲食店では接客対応が必要不可欠になります。特に開業時に新規のお客さんを獲得するためには欠かせないスキルになるため、しっかりと身につけるように心がけてください。
「飲食店のツナグ」では、開業予定の方に必要な情報を多数発信しています。これから開業を予定している方は、ぜひ参考にしてください。