飲食店で赤字が続いてしまったら、お店を閉店させようかとネガティブに考えてしまう経営者も多くいます。赤字になった時こそ、お店の改革が必要です。
本記事では、飲食店の経営赤字から立て直す方法をどうすべきか紹介します。
1.飲食店の多くは赤字経営?
飲食店を経営する多くの経営者が、安定した黒字経営を望んでいます。
しかし、常に黒字で経営することは難しく、多くは赤字経営で営業していると言われています。飲食店が赤字経営でも何故成立するのか、次のような要因があります。
1-1.黒字と赤字の月がある
1年通して黒字で経営しているお店は少なく、黒字経営が出来る1カ月もあれば、赤字の1カ月になってしまうケースもあります。
大切なことは、一年を通して黒字経営ができる月を増やすことです。赤字が3カ月続いても、その後3カ月連続で黒字になれば、損失分をカバー出来る可能性があります。
1カ月あたりの経営状態で判断するのではなく、長期スパンでお店の経営状態が健全かどうかを判断するようにしましょう。
1-2.赤字経営で閉店をするのではない
飲食店で最も大きな誤解は、「赤字経営が続いたから閉店を決める」という誤解です。
飲食店が閉店を検討する時は、運転資金が尽きた時です。赤字経営が続いても、運転資金がある一定あれば、黒字に戻すまでお店を経営出来ます。
一方で、運転資金が0円に近い状態で1カ月赤字を出した途端に資金繰りに困り閉店することもあります。たった1カ月でも運転資金が無ければすぐに閉店する可能性があると認識しておきましょう。
閉店する要因は、運転資金が無くなってしまったことであり、赤字経営が連続で続いてしまったからではないと理解して下さい。
2.飲食店が赤字になる原因
飲食店が赤字経営になる原因は様々です。赤字経営を回避するために、赤字経営になる要因を把握しておきましょう。
2-1.サービスの低下
お店のサービスや味の低下が顕著に見られると、赤字経営になる可能性があります。
特に新規開業のお店が1カ月目は好調で2カ月目以降黒字になってしまう要因は、サービスの質が悪いことも要因として考えられます。
お店の料理人が退職し、お店の味が変わることで、客足が遠のいてしまうことがあります。
ベテランスタッフが退職する、お店のサービスを従来のものから変更すると、赤字に転じてしまう恐れがあるので注意が必要です。
お店のサービスを変更する際は、お店の売り上げに影響を与えてないか注視しながら検討しましょう。
2-2.リサーチ不足
飲食店は、出店場所によって経営状態が大きく変化します。例えば、ラーメン屋を出店する場合、都心部には必ず激戦区と呼ばれるエリアがあります。
競合の激しいエリアに出店する場合、味に自信のあるお店でも競争に負けてしまえば、赤字になってしまう可能性があります。
リサーチをしっかりしていない状態で飲食店を出店すると、思わず競合相手に顧客を奪われてしまう恐れがあります。
開業後にお店を移転させることは容易なことではありません。
リサーチをする際は、しっかり調査をするようにしましょう。
リサーチ時は、出店場所を一度訪れて判断するのではなく、何度も足を運び需要が本当にあるのか見極めるようにしましょう。
競合となるお店があれば、実際にお店に運び、競合店と共存する方法を検討して下さい。リサーチをした結果、出店場所を変更する勇気も大切であることを認識して下さい。
2-3.顧客獲得までの必要期間
新規開業の飲食店が開業直後から常に黒字経営を続けることは難しいと言われています。
開店当初は珍しさから集客に成功するものの、時間経過とともに客足が伸びず赤字経営に転じてしまう恐れもあります。
固定客や新規顧客獲得を1週間〜2週間に限定し、運転資金を充分に確保していないと、赤字経営に転じた際に閉店も検討しなければなりません。
開業後半年程度は、知名度が無ければ赤字経営の可能性があると認識して営業をするように意識して下さい。
2-4.店舗拡大の失敗
飲食店は3年目を迎えると経営が安定すると言われています。しかし、安定をすると飲食店のオーナーの中には、規模を拡大させようと欲を出すケースも珍しくありません。
お店の規模を拡大するために系列店を出店することは決して悪いことではありません。
しかし、新たに出店するお店が必ず成功する保証はありません。
店舗拡大によって、グループ全体のサービスの質が低下しては本末転倒なので注意しましょう。
2-5.利益管理の失敗
飲食業界では、売り上げから粗利を引いた利益が売上金額の10%以上が理想と言われています。
しかし、お店によっては、繁盛しているにもかかわらず、材料費、宣伝費、人件費にコストをかけて、利益率が10%を保てないケースもあります。
食材原価と人件費のいわゆるFLコストが、65%以上になるといくら繁盛店でもすぐに赤字経営に転じてしまう可能性があるので注意が必要です。
赤字経営するお店の中には、利益の管理に失敗して赤字経営となってしまうケースもあるので、営業をする際は、利益を何%にするか細かく設定するようにして下さい。
無料サービス、低価格の商品を提供するお店は、いくら繁盛しても高い利益を確保出来ない可能性があります。経営が改善されないのであれば、価格設定を見直すことも必要であると認識して下さい。
2-6.周辺環境の変化
お店を健全に運営するために、良い素材、良いサービスを提供しても周辺環境が変化することで赤字に転じてしまうことがあります。
例えば、近くに巨大ショッピングモール施設が開業した場合、客がショッピングモールに流れてしまうことがあります。
ショッピングモール以外では、オフィスビルの移転が決まり、固定客として訪れていたビジネスマンが突如来なくなってしまうこともあります。
周辺の環境が大きく変化することで、一気に赤字経営に転じてしまうケースがあります。赤字経営に陥った際、これといった変化が無ければ周辺環境の要因も検討しましょう。
3.赤字経営からの脱却方法
赤字経営に転じても、うろたえることはありません。赤字経営から脱却するための策をしっかりと検討しましょう。
3-1.店舗の見直し
お店を繁盛させるために、店舗自体が「本当にお客さんが来たいと思うお店」になっているかチェックすることも大切です。
例えば、お店の外壁や内装、汚れが目立つ状態であれば、いくらそれまで人気であったお店も足が遠のいてしまう可能性があります。
お店を清潔な状態に維持することも大切です。清潔な状態は店内だけでなく、調理場やバックヤードも同様です。清潔な状態を維持し、お客さんを迎える体制を整えるようにして下さい。
3-2.メニューの改善
集客をするために、メニュー数を豊富にして様々なジャンルに対応しようと検討する経営者の方もいるでしょう。
しかし、メニュー数を増やすことはコストが高くなってしまうため、増やすのではなく絞ることが大切です。売れ筋の商品の中からメニューラインナップを再検討しましょう。
メニュー数を絞る際は、売れ筋商品だけに限定するのではなく、お店として負担の少ないメニューは残すなど工夫が必要です。
中止になったメニューの中には、復活を願うファンもいる可能性が考えられます。
中止にしたら絶対に提供をしないのではなく、期間限定で復活させる、裏メニューとして残しておくなど、柔軟な対応を心掛けましょう。
3-3.集客方法を見直す
チラシやグルメサイトの掲載によって集客効果が見込めない場合は集客方法を検討する必要があります。
グルメサイト等の掲載はある一定効果が見られない場合はすぐにやめましょう。一方で、試してない集客方法があれば、活用することも大切です。
例えば、デリバリーサービスを提供していない飲食店がデリバリーサービスを導入したことで集客が上昇する可能性もあります。
既存のサービスで効果がないサービスは切り捨て、効果のありそうなサービスに積極的に切り替えていくようにしましょう。
3-4.コストの見直し
コストの見直しを行うことで、経営状態を改善させることができます。コストカットですぐ思いつくものが、人件費です。
しかし、人件費を削減するとお店の運営に影響が及んでしまい、結果的にサービスの質の低下につながる可能性があります。
スタッフを雇いすぎているお店であれば、出勤できるスタッフを整理して、最適な人数での運営を維持しましょう。
3-5.看板メニューを作る
人気店になるためにはお店の売りになる看板メニューが必要不可欠になります。
看板メニューが無ければお店を良い状態に維持することができないため、看板メニューを作りましょう。
開業後にメニュー開発することも可能ですが、商品開発の時間を確保する必要があります。看板メニュー候補は開業前に設定し、開業後の売り上げ状況でお店おすすめの推しメニューを決めましょう。
3-6.お店の無駄を探す
経営状態が悪いお店には、何らかの無駄を抱えている可能性があります。
例えば、注文から調理までのアプローチ、開店準備までの作業の無駄、お店によって様々です。
お店の無駄を探し、効率化出来る方法を検討しましょう。無駄をなくすことで、お店の回転率を高め売り上げアップにつなげることが出来る可能性があります。
4.対策をしても赤字経営が続いてしまう場合は
様々な対策をしても、赤字経営が続いてしまう可能性があります。半年赤字経営の後黒字に転じることも珍しいことではありません。
しかし、資金力のないお店では半年赤字が続くと取り返しのつかないことも考えられます。
赤字経営が続いてしまう場合は、赤字が続いても良い期間を設定しましょう。設定した期間内に脱却する方法を検討して下さい。
赤字経営に耐えられるよう最低でも、3カ月〜半年程度の資金に余裕を持てば、赤字経営を挽回出来るため、開業時は資金にゆとりを持たせましょう。
まとめ
赤字経営にお店が転じると、経営者の方は弱気になってしまいます。赤字経営をネガティブにとらえるのではなく、お店を改革するためのサインとして、積極的にお店の改革を検討しましょう。
「飲食店のツナグ」では、お店を健全に運営するためのノウハウを多数紹介しています。飲食店を経営している方は、当サイトをぜひ参考にして下さい。